MONTHLY MAGAZINE 4月号

コロナと闘いながら、
出来る限り「対面授業」を実施

コロナ禍での「学びの質」を問い続けて 

このコロナ禍で学生達から「対面授業」の機会が失われました。多くの大学が「オンライン授業」を進め、いまだに2年間ほとんど登校していない学生もいます。本学は保育者を養成する大学として対面授業の重要性を常に考えてきました。あらゆる局面において感染症対策を万全にしながら、直接的な体験を通しての学びが削ぎ落されない方法を模索しつつ進んできました。これは教職員にとっては難しい判断の連続でしたが、「児童福祉」単科の大学である良さを活かし、その都度保育学生にとっての最善を考え続けてきました。

「保育」とは

本学ができる限り対面での授業を行いたかった理由は、保育という営みと関係があります。保育とは、養護及び教育を一体的に行うこととされています。(保育所保育指針第1章総則より)
これを養護と教育(福祉的な側面と教育的な側面)の一体性と言います。保育は「養護(Careケア)」の延長線上にある「教育(子どもを育てる営み)」 であるとされ、保育者を目指す人には、このケアの視点(相手のことを思いやる視点)がとても重要なのです。この感覚は“画面越し”ではなかなか難しいのです。

「保育を学ぶ」とは

オンライン学習は、使い方によって知識・技能の習得に有効な場合もあります。しかし、保育者を養成する場合、対象となる子どもは言葉だけではなく身体全体で思いを表現しています。保育学生は、子どもの思いを汲み取って、その気持ちに寄り添いケアすることを理解することが必要です。この“他者理解を深め援助すること”は、他者との直接的なやり取りで体得してほしいのです。乳幼児教育の世界では「直接体験することで分かること」の重要性が説かれています。それが、「保育学」の中心であり、保育者になったときに外せない専門性なのです。

コロナ禍の実習!
実習先との信頼で実現
これぞ和泉の強み

意欲的に学ぶ学生の姿勢

本学学生のほぼ全員が、幼稚園教諭二種免許と保育士資格を取得し、保育・福祉職に就くことを希望しています。このことは、授業を担当する教員の豊富な現場経験に基づく話題が学生に響きやすく、実習への高い意欲にも繋がっています。この姿は実習先からも高く評価されています。感染症対策においても高い意識をもって継続して授業に取り組んでくれています。

往還型のカリキュラムで育つ

本学では2年間を通じて学内での学びと実習と連動させ、交互に経験させるカリキュラムによって、学生の理解がより深まり成長することを研究等で明らかにしています。 論文「実習に向かう学生の意識の変化-実習自己診断結果から-」『和泉短期大学教職研究』第4 号 2021、他参照
コロナ禍の実習では、その良さを無くさないように考え、幾度の修正や変更に耐えつつ学生のために最善を尽くしてきました。2021年度からコロナ禍での実習機会の確保、分散登校など授業形態の変動に伴う往還するカリキュラムの維持が課題となりました。

実習実施の実態

2021年1月と2月に予定していた保育実習は短縮を余儀なくされましたが、保育所で5日間行い、感染拡大が落ち着いてきた2021年5月に学事を変更し「児童福祉アクティブラーニングウィーク」として実習に行く予定であった施設や保育所へ学外演習をお願いしました。6月の幼稚園実習や、2022年度1月2月の実習も、すべてを中止し学内での演習に代替することなく、実習先と個別に調整し、5日~12日の現場での実習を実現しました。健康観察の徹底、食事場面の対策、時期変更など実習先との長年の連携関係を活かして対応していただきました。

せっかくだから最後の学生生活は充実した時を送りたい!

この春に卒業生した在学生に2年間を振り返るアンケートを実施しました。コロナ禍でのこの数字は教職員にとってもホッとするものでした。おそらく対面授業や実習への取り組みへの成果があったのだと思われます。

「なぜこの数字?」卒業生へインタビュー

そこで、このアンケートの結果の要因はどこにあるのか、新年度から社会人として働く直前のオープンキャンパススタッフだった角井風香さん、中井涼花さんにインタビューに答えていただきました。

卒業時の満足度が高かった結果の要因は何だと思われますか。

角井:学びの満足が98%!すごい数字ですね。びっくりですが納得です。その要因の1つは現場経験豊富な先生方の「現場の声」。これは和泉ならではだと思います。先生が実際に経験されたエピソードで行われる事例検討。教科書での学びももちろん大切ですが、「現場ではね…」と話してくださる先生方からの学びは貴重で大きなものでした。

中井:和泉は「グループディスカッション」がとても多いですよね。友だちと意見を交換する機会が多く、新たな考えに出会うことができたり、自分の考えを見直すことができたりして、視野を広げることができました。

角井:あと、満足度が高い要因として、学校生活で先生方との距離も近く相談などがしやすい環境があったと思います。

中井:私は、コロナ禍でもなるべく学校生活が楽しくなるように、学生主体になるようにと、先生や職員の方も努力しておられるのが目に見えていたからだと思っています!制限された中でも充実した授業、実習、生活、就活のサポートがあって安心しました!

なるほど。やや不満の要因はどこにありそうですか?

角井:やや不満な点は、コロナの影響によるリモート授業による課題の多さ、入学時(2020年4,5月)の課題のみの期間、制限のある中での授業への苦しさなどもあったのではないかと思います。

今後もより一層学生と共に創る授業展開が必要になりますね。
就職後もまたお会いしましょう。ありがとうございました。

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[記事公開日]2022年04月15日[最終更新日]:2022年05月10日