MONTHLY MAGAZINE 3月号

現在の神奈川県の平均年収は402万円

待機児童解消や保育士不足解消のために、国は他業種と比べて低賃金だった保育士の給料アップのために、平成25年より段階的に処遇改善加算の制度を設けてきました。現状はどうなっているのでしょうか。次のグラフは厚生労働省が公表した保育士の年収等の推移です。年々給与は上がり、 R2(2020)年は374万円 となっています。(厚生労働省の政府統計データ 2020年の全国の保育士(男女)の平均年収より) 

また都市部の賃金が高く、神奈川県は402万円です。現在も本年2月より収入を3%(月額9000円)引き上げるための措置が実施されています。保育士の給与の実態は分かっていただけたと思いますが、給与アップだけでは処遇改善とは言いきれません

疲弊して退職する方が多い現状

厚労省調査で“過去に保育士として就業した者が退職した理由”がまとめられています。1位は「職場の人間関係(33.5%)」続いて「給与が安い(29.2%)」「仕事量が多い (27.7%)」「労働時間が長い(24.9%)」「妊娠・出産(22.3%)」と続いています。
保育士不足や待機児童解消の措置としての子どもの受け入れ定員の増加は、現場の保育士にとって仕事量を増やし、余裕を奪い、本来楽しいはずの子どもとの生活を疲弊させ、関係性や労働環境を悪化させているのが実態です。

大人も子どもも過ごしやすい環境へ

そのような悪循環を避けるために、現在各自治体や法人において、人間関係の風通しを良くしたり、ノンコンタクトタイムと言って子どもと関わらずに仕事をする時間を設けたり、外部の研修時間を増やしたりと、労働環境を改善や保育の質向上の取り組みが進められています。しかし、残念ながら必ずしも「すべての園が」とは言い難いのが現状です。
先駆的な取り組みを行っている自治体や、いわゆる“ブラックではない”法人かどうかは、 日ごろから園との関わりを密にしていなければ見えません。 和泉短期大学の強みの一つはこの連携にあります。

今後は保育の量ではなく質がキーワード

ご存じの通り、現在少子化は急速に進行しています。乳幼児の数は減少していますので、これからは今まで増やしてきた保育施設は徐々に減少していきます。そして 質の高い保育を行っている保育施設、質の高い保育者 がより一層必要とされます。
就職先選びには、保育者の処遇・労働環境改善や質の向上に取り組んでいる園を選ぶことが必要です。そして保育施設はその内実は多様ですから、自分に合う園を選ぶことが大切です。
そして保育者を目指すのであれば、 ただ資格が取れれば良いのではなく、2年間(4年間)で何を学んでどのような保育者になりたいのか が将来に渡り非常に重要なことなのです。

ホントに専門学校でよいですか?

入試の時期も早く、比較的入り口は入りやすい専門学校ですが、保育者を目指すのであれば、ぜひ短期大学に進学していただきたいと思います。教育内容も学生生活も費用も年数も短大のメリットはとても大きいのです。
専門学校の良いところは細やかなケアを行っている場合が多いことですが、それは短期大学も同様です。4年制の総合大学では短期大学や専門学校ほどの個別のケアは難しいでしょう。

専門学校の場合(併修校は知っていますか?)

神奈川県内で、2年間で「幼稚園教諭免許状」と「保育士資格」の両方が習得可能な専門学校は2校のみです。他は「併修校」と言って、他の大学等での通信教育やスクーリングが必要で 別途費用(50万~70万)が必要 となったり、 3年間でないと両方の資格・免許が取得できない ケースが多々あります。

4年制大学を選びますか?

大学の教育は研究と理論に裏付けされた質の高さがあります。短期大学でも同様です。本学では4年制大学で講師をしていた教員も多数おりますし、保育・福祉の現場から実践研究を重ねて大学教員になっている教員も多数在籍しています。
4年制大学のネックは費用でしょう。保育学の学びとして短期大学と比較した場合、奨学金で4年間通う必要性は本当にあるか考えてみてほしいところです。短大から3年次編入もお得ですよ。

結局、短期大学はいいとこ取り!

和泉短期大学では創立66年のノウハウを活かし、学生一人ひとりの希望する就職・進路についてアドバイスをしています。進路支援センター内には、就職・進学先のデータも豊富で、先輩方が残してくれた就職活動体験記や受験報告書などの閲覧も可能です。就職先についても皆さんが満足して働くことができるように給与面や待遇面など一緒に確認をしています。今年度の卒業生も夢を叶え、本人が希望する進路先へと巣立っていきました。

[記事公開日]2022年03月15日