理事長  深町 正信   2019年度和泉短期大学卒業式祝辞
学 長  佐藤 守男   告示

2019年度和泉短期大学卒業式祝辞

理事長 深 町 正 信

 卒業生の皆様、皆様が今日、このように晴れて、めでたく和泉短期大学を卒業されますまでの2年間、また、専攻科の1年間を修了されるまでには、今、静かに思い起こしてみるならば、御両親、御家族の温かな御理解と色々なご援助があったればこそ、今日のこの卒業という喜びの日を迎えることが出来たのであろうと思います。

 特に、この在学中の2年間、この和泉短期大学で出会い、日々の学生生活をともに送ってきた学友との喜び、悲しみ、苦しみ、試練を、今日までともにしてきたからこそ、今、この卒業式を迎えた喜びがあり、自らが日々、切磋琢磨して、今日までの2年間を、また専攻科の皆様の和泉短期大学での日々の学生生活を有意義に過ごすことが出来たのであろうと思います。

 ところで人は誰でも生きがいのある人生を送りたいと願うものであります。何が本当に「生きがいのある人生」であるのかということについて、精神科医であり、『生きがいについて』『人間を見つめて』等の数多くの有益な書物を残され、多くの人々に大きな影響を与えてきた神谷美恵子さんによれば、生きがいのある人生とは結局「使命に生きる人生」であると書き残しておられます。

 それは生きるということ、否、生かされていることに対しての責任感こそが実は私達の人生の大事な課題であり、それこそが『使命に生きる人生である』とも書いておられます。つまり、使命に生きる人生とは、自分の人生には何らかの果たすべき仕事と意味があるという自覚に生きることにあるということです。

 私達は自分の人生の使命が何かを、今、すぐに、それが何であるかをはっきりと捉えられなくても、自分に課せられていることとして、「一生、之、求道」の精神をもって生き抜くことこそが実は大切であろうと思います。

 卒業生の皆様は、この自分の夢と希望をもって、まさに、今、それぞれが新社会人として新しい自分の人生に向かって第一歩を歩みだそうとしているわけですが、その皆様に私は聖書の言葉を一つ贈りたいと思います。

 それは新約聖書のフィリッピの信徒への手紙4章8節と9節の言葉です。これは使徒パウロの言葉でありますが、「すべて真実なこと、すべて気高いこと、すべて正しいこと、すべて清いこと、すべて愛すべきこと、すべて名誉なことを、又、徳や称賛に値することがあれば、それを心に留めなさい」とあります。また、「わたしから学んだこと、受けたこと、わたしについて聞いたこと、見たことを実行しなさい。そうすれば、平和の神はあなたがたとともに居られます」という言葉です。  この聖書の言葉を、今から始まろうとしている皆様の新しい人生の歩みの中でしっかりと心に受け止めて、意義のある人生を是非送って下さいますように心から期待し、祈って、送り出したいと思います。主なる神様は必ず、あなたを助け、導き、守り、支えてくださいますので、その主の愛に守られつつ、新たな職場の歩みを切り開いて行ってください。卒業生の皆様、御卒業おめでとうございます。




告示

学長 佐藤 守男

児童福祉学科174名、専攻科介護福祉専攻4名の皆さん、
ご卒業・ご修了、おめでとうございます。

2020年3月10日10時30分和泉クラークホールにおいて
学校法人和泉短期大学
児童福祉学科「第54回 卒業証書・学位記 授与式」
専攻科介護福祉専攻「第10回 修了証書 授与式」が行われる予定でした。

  しかし、卒業生・修了生そしてそのご家族の皆様方の健康と安全のため、また、新型コロナウィルス感染拡大を防ぐ社会的責任のため、中止することになりました。

卒業・修了する皆さんとそのご家族の皆様方にとって、また和泉短期大学に取りましても、この学位記授与式・修了証書授与式は大変に大切なものであり、そして何よりも皆さんと共にお祝いできないことが、残念なのですが、何とぞ、ご理解賜りますよう、お願い申し上げます。

 改めまして、和泉短期大学を代表致しまして、これまでの皆さんの努力と研鑽とを、心より讃えたいと思います。誠におめでとうございます。

 また、この日まで長きにわたり、ご子息、ご息女の勉学を支えてこられました、ご家族の皆様方にも、心よりお喜び申し上げます。

おそらく、ご家族の皆様方は、ご子息、ご息女が卒業・修了されることにほっとしておられることでしょう。そして、同時に、我が子の旅立ちを目の前にして、予測不可能な時代に、不安を感じておられることと思います。

 しかし、卒業・修了される皆さんは、この和泉短期大学で身に付けた「専門的な知識や技術」を糧として、目の前にある問題に取り組み、隣人と共に歩んでくれることと思います。

 さて、日本にも近い将来「Society5.0」が到来すると言われています。
「Society5.0」とは、「狩猟社会」「農耕社会」「工業社会」そして、現在の「情報社会」に続く、新たな社会として提唱されている「超スマート社会」です。

  これまでの「情報社会」では、あふれる情報の中から、私たちに必要な情報を見つけて、分析・判断する作業が必要でした。しかし、これからの社会は、通信技術の発達と膨大なデータを蓄積・処理するインターネットの発達によって、全ての人とモノがつながり、様々な知識と情報が共有され、新たな価値が生み出され、それを活用することによって、現代社会の課題を克服しようというのが「Society5.0」だというのです。

 ところで、これからの日本の社会を想像しますと、ますます「少子化・高齢化」が進み、労働力人口が急速に減少しますので、それに伴う経済成長は鈍くなるでしょう。そして、「社会保障制度」は機能しなくなり、「格差」が拡大して、私たちが望んでいる「安全で安心して暮らせる社会」「一人ひとりの豊かな人生」は危うくなっていくかもしれません。その上、「AI社会」の到来によって、今後10年から20年で、現在の仕事の約47%が自動化され、多くの職業がなくなり、これからの若者にとって、予測不可能な時代がやってくると言われています。

 しかし、職業がなくなるのは今に始まったことでなく、「AI社会」が進めば、今まであった職業がなくなることもあるでしょうが、新しい価値を持った、新しい職業もまた生まれてくるのです。これまでも、肉体労働が機械に代わってきたように、知的労働の分野においても同じようなことが起こっています。例えば、知的労働のうちでも単純作業である、計算や統計、確率のような定型的の仕事はコンピューターに置き換わっていますし、クリエイティブな要素の少ない仕事も、AIに置き換わってきているのです。

 ですから、私たち人間は、コンピューターの得意な分野で、張り合うのではなく、コンピューターでは難しい分野、すなわち、人間らしい能力に目を向けていくことが大切です。

 和泉短期大学は長い間、保育や幼児教育、介護の専門職の養成に携わってきました。まさにこの分野こそ、コンピューターでは難しい分野なのではないでしょうか。『相手の感情を理解したり、共感したり、場の空気を読んだりして、相手をもてなす』このようなホスピタリティの精神の高い行為は人間でなくてはできません。

本学は今年5月で、創立64周年を迎え、卒業生は約19400名となります。その卒業生のほとんどが、住んでいる地域のリーダー的存在として、神の栄光を表す素晴らしい働きをしています。

和泉で学んできた皆さんは、このように予測不可能な時代にあっても、先輩たちのように社会から必要とされ、そして、地域住民から期待されている知識や技術を学んできたのですから、安心して社会に出て、社会のために貢献して頂きたいと思います。

 最後になりました。
 これまで、本学のためにお力を貸して頂きました
管理人の田中哲三郎さん(16年間)
非常勤講師の井田英子先生(19年間)、生沼晴美先生(7年間)、横地みどり先生(6年間)
特任講師の下西潤子先生(12年間)
教育学習支援ユニット主任の穴井康夫さん(13年間)

 これまで、本学のためにご尽力を頂きまして、誠にありがとうございました。
心より感謝申し上げます。

 そして、ご家族の皆様方には、これまで、父母会の活動を通しまして、本学のために、様々なご支援とご協力を賜わりました。この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。

長い学びの時が終わり、新しい人生へと歩みだす、
卒業生、修了生の皆さんと そのご家族の皆様、
そして、和泉短期大学のためにご尽力を頂きました皆様方の上に、
神さまの豊かな祝福がありますよう、お祈り申し上げて、
告辞とさせて頂きます。